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「文章起業」で月100万円稼ぐ! 副業・在宅OK、未経験からはじめられる
 [経済・ビジネス]

副業・在宅OK、未経験からはじめられる 「文章起業」で月100万円稼ぐ!
 
藤原将/著
出版社名:大和出版
出版年月:2021年3月
ISBNコード:978-4-8047-1877-4
税込価格:1,650円
頁数・縦:277p・19cm
 
 Webライターを目指す人の指南書。
 Webライター、すなわち他人から依頼を受けてWebページに文章を投稿・掲載してお金を稼ぐライター稼業で、最も多い仕事は、SEO記事の制作らしい。「ネット上に公開する集客用の記事」のことである。全体の9割に当たるという。その他の仕事には、製品紹介ページ、YouTubeの演者が読み上げる台本、電子書籍、SNS投稿(アカウント運用者の代筆)などがあるらしい(pp.32-34)。
 これらの仕事を、主に「ランサーズ」や「クラウドワークス」などのクラウドソーシングに登録して獲得するのである。
 
【目次】
序章 Webライターで稼ぐ人になる
 稼げるWebライターは、こうしてスタートしている
第1章 月収5万円を稼ぐ―副業レベル
 Webライターの仕事のメリット
 Webライターの主な仕事内容
  ほか
第2章 月収15万円を稼ぐ―副業・専業レベル
 専業Webライターで月収15万円を稼ぐ
 副業Webライターで月収15万円を稼ぐ
  ほか
 
【著者】
藤原 将 (フジハラ ショウ)
 合同会社ユートミー代表。高校卒業後、専門学校を経て美容師となる。経済的な苦難を解消するため、美容師1年目から副業としてWebライターの仕事を開始。その後、Webライターの仕事に集中するため美容師を退職し、4カ月後に月収50万円、9カ月後に月収100万円を達成。独立2年目に法人を設立する。現在は、ライティング全般やサイト構築、ディレクション業を行う。また、自身と同じように在宅ワークで稼ぐことが必要な人、本気で書くことを仕事にしたい人へ、自らの経験を元にした「稼げるWebライターになる方法」を指導している。
 
【抜書】
●2円(p254)
 〔専業Webライターとして活躍している知人は、おおよそ文字単価2円前後のライティング案件を獲得できた段階で独立しているケースが多いように思います。
 副業Webライターからキャリアをスタートし、やがて独立を目指しているなら、文字単価2円を1つの指標としてみてください。〕
 
(2023/3/14)NM
 
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人の心に働きかける経済政策
 [経済・ビジネス]

人の心に働きかける経済政策 (岩波新書 新赤版 1908)
 
翁邦雄/著
出版社名:岩波書店(岩波新書 新赤版 1908)
出版年月:2022年1月
ISBNコード:978-4-00-431908-5
税込価格:946円
頁数・縦:191, 35p・18cm
 
 行動経済学が「メインストリーム」の経済学に及ぼした影響を論じ、現在の経済政策の問題点をあぶり出す。さらに、現在の日銀の「異次元緩和」政策を批判する。
 
【目次】
第1章 自己実現的予言
第2章 ヒトはどのように判断・行動しているのか
第3章 マクロ的な社会現象へのフレーミングやナッジ
第4章 メインストリームの経済学の「期待への働きかけ」
第5章 「期待に働きかける金融政策」としての異次元緩和
第6章 物価安定と無関心
付録:金融政策に関するノート
 
【著者】
翁 邦雄 (オキナ クニオ)
 1951年東京生まれ。1974年東京大学経済学部を卒業し日本銀行入行。1983年シカゴ大学Ph. D.取得(経済学)、筑波大学社会工学系助教授、日本銀行金融研究所長、京都大学公共政策大学院教授などを経て、大妻女子大学特任教授、京都大学公共政策大学院名誉フェロー。専攻‐国際経済学、金融論。著書‐『期待と投機の経済分析―「バブル」現象と為替レート』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞受賞)など。
 
【抜書】
●現在バイアス(p26)
 「今の満足」の価値と、「明日の満足」の価値、「明後日の満足」の価値を比較した場合、「今の満足」の価値が突出して高いこと。
 例えば、ダイエットの失敗。「明日の満足」と「明後日以降の満足」の価値の差は小さい。だから、現在バイアスが強い人は、今日はたっぷり食事をし、明日から我慢を始めることで明後日以降の体系改善を目指す。そして、「明日」になっても……。
 
●プライミング効果(p51)
 あらかじめ受けた刺激(先行刺激、先行情報)によって、人の行動が影響されること。プライムとは、「前もって教え込む」という意味。
 例えば、選挙の投票率を上げるために、選挙の前日に、投票するつもりかどうかのアンケートを実施すると、投票する確率を25%高めることができる、という研究結果がある。
 
●ナッジ(p52)
 罰金や補助金など金銭的なインセンティブ以外にも、行動経済学的知見を用いて人の心に働きかけることでその行動に影響を及ぼすことができる。そうした手法をナッジと呼ぶ。リチャード・セイラーによる。
 ナッジ……(注意をひくため、あるいは何かをさせるために)人をそっと押す、という意味。
 ナッジによる介入は、「個人の選択の自由を侵害しないで行動に影響を与えること」を目的としている。アムステルダム・スキポール空港の男性用便器の例。中心にハエが描かれており、使用者は思わずそれを目標にしてしまう。強制手段を用いずに飛散防止を実現。
 
●自然利子率(p96)
 「完全雇用が過不足なく実現できる需要」を引き出す実質金利水準。
 19世紀スウェーデンの経済学者クヌート・ヴィクセルの命名。
 
●2%インフレ(p177)
〔 ここまでの議論を総括したい。人々が希求する物価安定の本質は、グリーンスパンが定義するように、インフレ率に関心を持たなくてよい状態だ。二%というインフレ目標には、そうした本質的な意味はない。
 もし、別途、何らかの理由で二%のインフレ率達成が日本経済にとって不可欠なら(その理由は黒田総裁の三点セットにはないが)、そのための手段は、物価安定の正常性バイアスを壊さないこと、国民にとっても望ましいインフレであるというポジティブなフレーミングが説得力を持って作れること、の二点が必要であるはずだ。換言すれば、①正常性バイアスを壊さない方法で物価のアンカーをゼロ近辺から二%近辺に押し上げる、②物価上昇に対する忌避感を緩和するため物価上昇が実質所得の減少につながらないことが目に見えるフレーミングを作る、ということになるだろう。〕
 
(2023/2/24)NM
 
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お酒はこれからどうなるか 新規参入者の挑戦から消費の多様化まで
 [経済・ビジネス]

お酒はこれからどうなるか: 新規参入者の挑戦から消費の多様化まで (1009;1009) (平凡社新書 1009)
 
都留康/著
出版社名:平凡社(平凡社新書 1009)
出版年月:2022年8月
ISBNコード:978-4-582-86009-2
税込価格:990円
頁数・縦:230p・18cm
 
 アルコール飲料業界の今と将来の姿を、経済学的な観点から語る。
 
【目次】
第1章 日本酒―続く新規参入者の挑戦
第2章 日本ワイン―「宿命的風土」を乗り越える苦闘
第3章 梅酒―古くて新しいお酒
第4章 日本のジン―クラフトジンの挑戦
第5章 家飲み―晩酌という独自の文化
第6章 居酒屋―世界にもまれな飲食空間
第7章 醸造所・蒸溜所が併設された飲食店―究極の「地産地消」
第8章 ノンアルコール市場の拡大―選択肢の多様化の先にあるもの
おわりに お酒のこれからを考える
 
【著者】
都留 康 (ツル ツヨシ)
 1954年福岡県生まれ。82年一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学(経済学博士)。同年、一橋大学経済研究所講師。85年同助教授、95年同教授を経て、一橋大学名誉教授。新潟大学日本酒学センター非常勤講師。著書に『製品アーキテクチャと人材マネジメント―中国・韓国との比較からみた日本』(岩波書店、第3回進化経済学会賞受賞)など多数。
 
【抜書】
●最古の酒蔵(p18)
 茨城県の須藤本家は、1141年に創業し、現在まで続いている。銘柄は「郷の譽(さとのほまれ)」。
 奈良時代から平安時代にかけて、商売としての酒造りが始まった。
 江戸中期までに創業した蔵元も273社に上る。(喜多常夫「18世紀までに創業した清酒・焼酎蔵元296社の創業年順リストとその分析」『日本醸造協会誌』100巻9号、2015年)
 江戸時代以前の日本酒の味は、今風に言えば味醂のような味だったらしい。
 
●生酛造り(p19)
 自然に存在する乳酸菌の増殖により、酸性環境を作りだす技術。
 酒母を作るにあたり、酵母が増殖するまでの期間に雑菌汚染を防ぐことが重要。自然に存在する乳酸菌を取り込むと、乳酸菌がベールのように雑菌を防いでくれる。
 江戸時代、生酛造りが開発された。
 生酛造りでは、原料を仕込むときに、蒸米、麹、酵母、水を浅い桶に入れて櫂棒で摺りつぶす作業(山卸)が必要になる。これを厳寒期の深夜に行った。この作業は重労働で、しかも発酵の不安定性を伴った。
 明治時代の末期(1900年頃)に「速醸法」が開発され、乳酸菌を直接投入することにより、気温の高低の影響を受けにくく、短時間で仕上げられるようになった。
 
●級別制度廃止(p21)
 1992年、国税局は、日本酒の級別制度を廃止し、製品における品質表示の基準を精米歩合に変更。特定名称酒制度。
 大吟醸酒50%以下、吟醸酒60%以下。純米酒(醸造アルコール無添加)、など。
 
●旭酒造(p22)
 山口県岩国市。売上138億円(2018年)、灘・伏見の大手ナショナルブランド企業の規模。
 大吟醸だけに特化し、磨き2割3分の「獺祭」を開発。空調設備完備の大規模工場で、杜氏の勘とコツに頼らず、数値管理によって醸造。
 
●新政酒造(p23)
 秋田市。造りの原点回帰。
 完全無添加の生酛造り、木桶の使用。醸造工程から、工業的要素を排除。
 
●日本酒の規制緩和(p27)
 2020年、「輸出用清酒酒造免許」を新設。輸出用の日本酒には、最低製造要件(60kl)を適用しない。
 試験製造免許の運用を弾力化。研究機関などにのみ認めていた免許を、小売業などにも広げた。
 
●株式会社ヴィラデストワイナリー(p75)
 2003年、玉村豊男が創設したワイナリー。エッセイストで画家。
 1991年、長野県東御市(とうみし)に移住、農業をしながら創作活動をしていた。自分で飲むためのワイン用のブドウも栽培していた。委託醸造。
 玉村が所長を務めていた宝酒造(株)が運営するTaKaRa酒文化研究所の顧問が、メルシャンを退職したばかりの麻井宇介だった。1998年、宝酒造のワイナリー設立プロジェクトが発足。しかし、2001年に中止。若手社員だった小西超(とおる)と玉村は、玉村の自宅と農園のある場所で製造免許を取得し、ヴィラデストを創業した。
 ワイン部門、レストラン部門、グッズ部門を擁する。
 ワイン造りを希望する者たちへの支援も行っている。「千曲川ワインアカデミー」(醸造教育機関)と、ワイナリー「アルカンヴィーニュ」を擁する日本ワイン農業研究所(株)を2014年に設立。
 東御市のワイナリーは、1軒から12軒に増加(2021年)。
 
●テロワール(p87)
 フランス語。ラテン語の「テラ(大地)」が原語。
 ブドウ畑の総合的な自然環境を表現する言葉。英語や日本語には、これを正確に表す言葉は存在しない。
 
●老舗居酒屋(p162)
 鍵屋……根岸、1856年(安政3年)創業。
 柿島屋……町田、1884年(明治17年)創業。
 みますや……神田、1905年(明治38年)創業。
 
●塩(p199)
 「塩は百肴(ひゃっこう)の将、酒は百薬の長」。『漢書』に出てくる王莽の言葉。
 吉田兼好は、『徒然草』にて、「百薬の長とはいえど、万病は酒よりこそ起これ」と書いた。
 
●ゲコノミクス(p209)
 藤野英人が提唱。飲めない人のためのお酒の経済学か?
 『ゲコノミクス――巨大市場を開拓せよ!』日経BP・日本経済新聞出版本部、2020年。
 
●モクテル(p209)
 mock(似せた)とcocktail(カクテル)の造語。
 カクテル様のノンアルコール飲料か?
 
【ツッコミ処】
・母数(p205)
〔要は、女性のお酒を飲まない割合の変化には、妊娠・出産などの影響があることが推察される。また、近年の非飲酒割合の増加は、飲む人の母数の大きい男性の影響が大である。また40歳未満男女の「酒離れ」が顕著である。〕
  ↓
 「母数」とは、「母集団の母平均と母分散の総称。」(日本国語大辞典)のことで、統計用語ということだが、同辞典には、「分母のこと。」ともある。
 残念ながら、『デジタル大辞泉』『岩波国語辞典』『現代国語例解辞典』には、「分母」の意味での立項はない。
 
(2022/11/27)NM
 
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物価とは何か
 [経済・ビジネス]

物価とは何か (講談社選書メチエ)
 
渡辺努/著
出版社名講談社(講談社選書メチエ 758)
出版年月:2022年1月
ISBNコード:978-4-06-526714-1
税込価格:2,145円
頁数・縦:333p・19cm
 
 物価が上下する仕組みと、経済についてやさしく解説する。
 
【目次】
第1章 物価から何がわかるのか
 それは何の値段なのか
 物価はこうして「作られる」
 物価は誰のものか―企業の物価・地域の物価・個人の物価
第2章 何が物価を動かすのか
 インフレもデフレも気分次第
 ハイパーインフレが教えてくれる物価の本質
 予想との格闘
第3章 物価は制御できるのか―進化する理論、変化する政策
 フィリップス曲線という発見
 信認と独立
 おしゃべりな中央銀行
 予想は操作できるか
 予想は測ることができるか
第4章 なぜデフレから抜け出せないのか―動かぬ物価の謎
 価格はなぜ毎日変わらないのか?
 ミクロとマクロの辻褄が合わない!
 価格を変えない日本企業
 デフレで何が困るのか
 商品の新陳代謝と企業の価格更新
第5章 物価理論はどうなっていくのか―インフレもデフレもない社会を目指して
 
【著者】
渡辺 努 (ワタナベ ツトム)
 1959年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行勤務、一橋大学経済研究所教授等を経て、東京大学大学院経済学研究科教授。株式会社ナウキャスト創業者・技術顧問。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。ハーバード大学Ph.D.。専攻は、マクロ経済学。
 
【抜書】
●ノルム(p87)
 社会の人々が共有する相場観。デフォルト。
 物価や賃金について、「毎年これくらいの引き上げ」というノルムがあり、社会で共有されている。
 
●自然失業率仮説(p127」)
 インフレ率=インフレ予想ーa×失業率+b
 aとbは正の定数。国によって異なる値を取る。
 
●コールレート(p158)
 日本銀行は、かつては公定歩合の上げ下げで景気のコントロールをしていた。
 現在は、コールレートについて日銀が目標値を決め、その水準が実現できるように、資金量を調整している。
 公定歩合……日銀が銀行などにおカネを貸すときに適用される金利。
 コールレート……金融機関が相互に資金を融通するときに適用される金利。
 
●商品開発(p282)
 日本では、物価上昇局面で、商品の値上げをするのではなく、内容量を減らして価格を据え置きにすることがしばしば。
 しかし、そのための新しい容器を開発したり、商品開発の手間がかかる。
〔 残業してまで「商品開発」に取り組む技術者に頭が下がるなあと思いつつ、しかし、これは異様な光景だと感じました。原価の上昇分を価格に転嫁するというのは、通常の社会であれば、フェアな行為です。恥ずるところは何ひとつありません。しかし価格据え置きが常態化し、消費者もそれが当然と考える社会では、フェアな転嫁も許されず、その結果、深夜の「商品開発」が行われているのです。しかも、その「商品開発」は、消費者が決して喜ぶことのない類のものです。それどころかSNSは消費者の怒りで満ちています。表面価格の引き上げも小型化も、どちらも消費者を怒らせるだけです。
 あれだけの労力を本物の商品開発に使えば、これまで見たことのない新商品が生まれ、多くの消費者を喜ばせることができるはずなのにと悔しく思うと同時に、現場の方々の悔しさは私の比ではないだろうと想像しました。価格据え置きの常態化は、現場の技術者から前向きな商品開発に取り組む機会を奪うというかたちで、社会に歪みを生んでいるのです。〕
 
(2022/9/23)NM
 
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中国減速の深層 「共同富裕」時代のリスクとチャンス
 [経済・ビジネス]

中国減速の深層 「共同富裕」時代のリスクとチャンス (日本経済新聞出版)
 
福本智之/著
出版社名:日経BP日本経済新聞出版
出版年月:2022年6月
ISBNコード:978-4-296-11378-1
税込価格:2,420円
頁数・縦:375p・19cm
 
 2050年ごろまでの中国の経済を、さまざまな観点から精緻に予測する。
 中国の経済規模は、基本的には減速する(すでに、減速している)が、経済成長がマイナスになることはなく、低位で発展し続け、米国と肩を並べるところまで行く、と予想する。
 ただ、習近平政権が続くことを前提としているので、政権交代があるのか、また、その際に新政権が習近平の政策を踏襲するのかどうかによっても大きく変わるだろう。
 
【目次】
はじめに―中国経済を等身大に評価する
第1章 2035年までのGDP倍増構想
第2章 共同富裕と改革開放・イノベーションの行方
第3章 人口動態と経済成長
第4章 デジタル化の伸長と成長への貢献
第5章 脱炭素と経済成長は両立するか?
第6章 金融と不動産のリスクの在処
第7章 米中対立とデカップリングの懸念
第8章 中長期成長に関する三つのシナリオ
おわりに―日本企業の取るべき戦略、スタンス
 
【著者】
福本 智之 (フクモト トモユキ)
 大阪経済大学経済学部教授。1989年京都大学法学部卒業、同年日本銀行入行。2000年在中国大使館一等書記官、2010年日本銀行国際局総務課長、2011年国際局参事役(IMF世界銀行東京総会準備を担当)、2012年北京事務所長、2015年北九州支店長、2018年国際局審議役(アジア担当総括)、2020年国際局長を歴任、2021年日本銀行退職。同年4月より現職。経営共創基盤シニアフェロー、東京財団政策研究所研究員。
 
【抜書】
●第二次産業(p36)
 ぺティ=クラークの法則。
 一国の経済が発展する過程で、経済の中心となる産業が第一次産業から第二次産業、第三次産業へとシフトしていく。
 それぞれの産業の労働生産性は、第一次産業より第二次産業のほうが高く、第三次産業は第二次産業より低い。このため、第一次産業から第二次産業へのシフトが中心の間は経済成長率は上昇するが、第二次産業から第三次産業へのシフトに伴い、経済成長率は鈍化する。
 
●共同富裕(p43)
 〔習近平政権の最も重要な政策の一つが共同富裕だ。従来の成長重視によりもたらされた歪みを是正し、イノベーション、調和、グリーン、開放、分配の公平性などにより重点を置いた持続可能な成長を通じて、皆で豊かになる共同富裕を実現しようとしているのだ。これは中国式のSDGs(Sustainable Development Goals)を掲げた、と言ってもよいだろう。〕
 
●都市人口(p55)
 中国の都市人口比率は、1982年の21%から2021年の65%にまで上昇した。国連の予想では、2050年に80%までしか上昇しない。
 国連によると、2020年時点の日本の都市人口比率は92%、2050年には95%まで上昇すると予想。
 
●出生率1.1(p122)
 10年に一度の人口センサス(日本の国勢調査に該当)によると、2020年の合計特殊出生率が1.3だった。
 2021年には、1.1程度にまで低下したと見込まれる。韓国は、2021年、0.81だった。
 国連が2019年に発表した世界人口予測によれば、これまで20年間、中国の合計特殊出生率は1.6~1.7で安定的に推移していた。
 中国では、一人っ子政策を見直し、2015年には夫婦両方とも一人っ子だった場合は子二人を生むことを認め、2016年には条件を設けずに子二人を認める「二人っ子政策」に転換した。
 2021年には夫婦一組当たり三人まで出産可能とする「三人っ子政策」に移行した。
 
●2023年(p126)
 2020年の総人口は14.1億人。2010年対比0.7億人の増加。
 2022年1月の国家統計局の発表によれば、2021年の総人口は、わずかに48万人の増加にとどまった。
 この傾向が続けば、2022年もしくは2023年には、中国の総人口は減少に転じる。
 2100年には、5.73億人(育禍人口研究の低位予想)~10.65億人(国連予測2019の中位予測)になると見られる。インドは15億人になると予想されている(国連予測2019年)。
 
●農民工(p143)
 中国の都市人口比率(2021年)は65%だが、都市戸籍を持つ人の比率は45%。20%2.6億人は、都市戸籍を持たない出稼ぎ労働者(農民工)。
 都市戸籍を持たない農民工は、公的な教育、医療、年金などの公的サービスを十分に受けられない。たとえば、子供を公立の学校に就学させられないので、農民工向けの非公式な私立の学校に通わせることが多い。もしくは、子供を農村に残し、祖父母に世話を任せて出稼ぎに来る夫婦も。
 
●灰色のサイ(p279)
 高い確率で大きな問題が起こると認識されているにもかかわらず、軽視されがちなリスク。
 「不動産は我が国の金融リスクに関する最大の灰色のサイだ」(2021年12月、郭樹清中国銀行保険監督管理委員会主席)。
ブラックスワン……事前にほとんど予測できず、起きた時の衝撃が大きいリスク。
 
●2035年(p339)
 福本による基本シナリオでは、2035年、中国のGDP規模は米国の0.96倍となり、その後2050年頃まで米中の経済規模はほぼ同程度で推移する。おそらく、米中の経済規模が似たようなレベルで推移する時代が長く続く。
 この程度の差は、為替レートの違いでいくらでも変わる。
 
(2022/9/5)NM
 
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サイバー文明論 持ち寄り経済圏のガバナンス
 [経済・ビジネス]

サイバー文明論 持ち寄り経済圏のガバナンス
 
國領二郎/著
出版社名:日経BP日本経済新聞出版
出版年月:2022年5月
ISBNコード:978-4-296-11341-5
税込価格:2,200円
頁数・縦:246p・19cm
 
 人類の社会は、農業文明から近代工業文明へと発展してきて、今後はサイバー文明の時代となる。
 今後、近代工業文明との違いを見極め、サイバー文明にふさわしい制度の設計が必要となる。サイバー文明が近代工業文明と大きく異なるのは、持ち寄り経済(シェアリング)とトレーサビリティ。財は個人所有から共有へと変化し、富は匿名性の高い金銭からトレーサビリティの高いデータへと変化した。それにふさわしい制度とは……?
 
【目次】
第1部 サイバー文明の夜明け―デジタル技術で富、技術、統治の形が変わる
 第1章 近代工業文明の基盤―所有権交換(販売)経済とその前提
 第2章 文明の進化
 第3章 デジタル経済で広がる格差と富の変質―深刻化する「反乱」
 
第2部 新しい時代を呼び込む四つの構造変化
 第4章 ネットワーク外部性―データは集積・結合で価値を高める
 第5章 ゼロマージナルコスト―価格メカニズムの限界
 第6章 トレーサビリティ―ビジネスモデルの時空間制約からの解放
 第7章 複雑系としてのサイバー文明―創発のオープンアーキテクチャ
 
第3部 サイバー文明を創る技術
 第8章 デジタルとネットワークが生み出すゼロマージナルコストの複雑系
 第9章 IoT―センサー、IDとネットワーク技術で広がるトレーサビリティ
 第10章 クラウド、プラットフォームとAIが生み出す情報のネットワーク外部性
 
第4部 新しい文明の経済―サイバー文明におけるビジネスの姿
 第11章 所有権交換モデルからアクセス権付与モデル、そして「持ち寄り経済」へ
 第12章 劣後サービスの大きな価値―効率化、持続可能化そして格差解消
 第13章 サイバー文明における価値と富
 
第5部 サイバー文明の倫理と統治
 第14章 デジタル社会の倫理とサイバー文明の精神―アジア的価値観再考
 第15章 複雑系の統治機構としてのプラットフォーム
 第16章 サイバー文明時代の民主主義―分散と協調のガバナンス
 あとがきに代えて―技術システムと社会システムの統合
 
【著者】
(國領 二郎 (コクリョウ ジロウ)
 慶應義塾大学総合政策学部教授。1982年東京大学経済学部卒。日本電信電話公社入社。92年ハーバード・ビジネス・スクール経営学博士。93年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助教授。2000年同教授。03年同大学環境情報学部教授などを経て、09年総合政策学部長。2005年から09年までSFC研究所長も務める。2013年より慶應義塾常任理事に就任(21年5月27日任期満了)。
 
【抜書】
●複雑系の排除(p92)
 もともと世界は複雑系である。
 近代工業文明は、世界の複雑系である性質を抑え込むことで成立した。
 工場では、管理された空間の中で、理論通りに同じ現象を繰り返し発生させることで、品質管理を行い、大量生産を実現する。
 
●LPWA(p119)
 Low Power Wide Area。低消費電力広域無線システム。
 スピードは5Gほどではないが、少ない電力で広い範囲の通信を可能とする技術。電池1本で理論的には10年運用可能なものもある。
 長距離通信も可能なので、WiFiと異なり基地局をたくさん立てなくてもよい。
 
●知徳報恩(p158) 
  他者による貢献を認識することで(知徳)、恩を与えてくれた社会(仏教では仏)や他者に報いて社会貢献する(報恩)。
 トレーサビリティによる持ち寄り経済の社会では、「知徳報恩」の考え方が重要。
 
●劣後サービスによる格差問題の解決(p166)
 アクセス権を優先度別に提供し、高優先度利用権を持つ所有者が低優先度ユーザーも使う共用資産に投資を行うという形態は、富裕なユーザーが投資した資産を低価格で低所得のユーザーが使うこと(劣後サービス)を可能にする。つまり、格差解消にもつながる。
 ピーク時に優先度高く使用したい「わがまま」なユーザーが投資した設備を、オフピーク時に低価格でより低所得のユーザーに開放することで、良質なサービスをより多くの人が享受することができるようになる。「わがままの効用」(藤井資子)。
 その際、最上位(最優先)のユーザーは、ライフラインのユーザーとすべき。命にかかわるようなサービスについては、優先的に利用できるようにする。
 第二優先度は、お金を出してでも優遇してほしいユーザー。
 第三優先度は、劣後ユーザー。
 
●信頼、評判(p181)
 金銭はトレーサビリティが低く、大量生産を前提とする、見知らぬ他人同士の匿名による経済に向いていた。近代工業文明の時代には、トレーサビリティの低い金銭の蓄積が富となった。
 サイバー文明の時代には、トレーサビリティの高い経済のなかで、「信頼」や「評判」などが蓄積されるべき富となっていく。
 
●忠実義務(p196)
 fiduciary responsibility。
 受託者は信託者の信頼を裏切ってはならない。
 弁護士などが依頼人の利益に反する行為を行ったり、金融機関が預金者の利益に反する行為を行ったりする場合、責任が厳しく問われる。
 
【ツッコミ処】
・一神教(p35)
〔 統治構造については、都市国家などにおける共和制などの形態もあったが、多くの農耕社会は王権のもとに組織化されていった。金属農具による高度な農耕技術は、その技術を持つ集団に大きな力を与え、支配できる王国の規模を拡大させていった。農耕が必要とする共同体による治水、共同農業作業、収穫物を守る警備などが階層的な支配構造を必要とし、王制がごく自然な形だったからといえる。
 広域に信奉される一神教の世界宗教が、農業文明の広がりと機を一にして広がった。これは、生産力の高まりとともに広域化した権力がその基盤を必要としていたからであると考えるのが素直だろう。自然界のさまざまな事物に畏れをいただき、それぞれの土地に土着の神を見る多神教は、自然のなかで暮らす狩猟採集社会ではごく自然であったが、農耕社会が必要とする統一的な権力には不都合だった。唯一の絶対神から統治を授権した王の統治という物語を成立させるために一神教が生まれ、時の権力者に採用されていった。
 日本においては、多神教的な要素を残しつつ、最高の祭司である天皇が将軍に統治権を委ね、土地をめぐる紛争の解決にあたらせるなどの形式をつくりあげていった。権力の確立に寄与したのが金属製の武器だったということも指摘しておいた方がいいだろう。青銅や鉄製の武器によって、より広域の支配が可能になっていった。〕
  ↓
 一神教は砂漠で誕生したと言われているが……。
 農耕が始まったメソポタミアは、多神教の世界だった。もっとも、都市国家ごとに信奉する神が存在していたので、狭い意味での一神教にあたるのか?
 
(2022/7/31)NM
 
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マツダとカープ 松田ファミリーの100年史
 [経済・ビジネス]

マツダとカープ (新潮新書)
 
安西巧/著
出版社名:新潮社(新潮新書 942)
出版年月:2022年2月
ISBNコード:978-4-10-610942-3
税込価格:946円
頁数・縦:269p・18cm
 
 東洋工業と広島東洋カープの成功を牽引し、独自路線でユニークな存在に育て上げた松田ファミリーの100年史をたどる。重次郎、恒次(つねじ)、耕平、元(はじめ)の4代。
 
【目次】
序章 なぜ広島「東洋」カープなのか
第1章 初代・重次郎の「不屈のDNA」
第2章 ロシアの砲弾と今太閤
第3章 2代目の反骨
第4章 東洋コルク工業発足
第5章 バイク、バタンコ、四輪車
第6章 ロータリーの光と影
第7章 もうひとつの創業
 
【著者】
安西 巧 (アンザイ タクミ)
 1959年福岡県北九州市生まれ。日本経済新聞編集委員。早稲田大学政治経済学部を卒業後、日経に入社し、主に企業取材の第一線で活躍。広島支局長などを経て現職。
 
【抜書】
●1875年(p56)
 松田重次郎は、1875年(明治8年)8月6日、広島県安芸郡仁保島字向洋浦(現在の広島市南区向洋)で生まれた。12人兄弟の末っ子。本来、「十二郎」と名付けるつもりだったが、役場の担当者がうっかり「重次郎」と戸籍簿に記入してしまった。
 
●松田式喞筒(p82)
 喞筒(そくとう)。ポンプのこと。
 重次郎が開発、1908年11月から売り出し、大ヒット。
 それまでのポンプはピストンの外周部が木製の桶型になっていて、傷んだゴムの取り換えが難しい。ハンドルの栓を抜けばそのままスパナになり、それを使ってねじを緩めればゴムが簡単に取り換えられる構造にした。
 
●ひたすら前に進む(p148)
 〔数々の挫折や失敗を経験した重次郎は、ひたすら前に進むことが苦境を克服する唯一の方法であることを自覚していた。〕
 
(2022/4/14)NM
 
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経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う
 [経済・ビジネス]

経済社会の学び方-健全な懐疑の目を養う (中公新書 2659)
 
猪木武徳/著
出版社名:中央公論新社(中公新書 2659)
出版年月:2021年9月
ISBNコード:978-4-12-102659-0
税込価格:946円
頁数・縦:257p・18cm
 
 これから経済学を学ぼうとする人たちに向けて、経済学を学ぶ上で必要な態度と姿勢を解く。
 重要な点は、経済学は「真理」を論証する学ではなく、「真らしい」事柄を探究する学であるということ。自然科学的な厳密な理論を求めてはいけない、ということだ。人間社会の現象は、数理的に完璧に論証することはできないということを、肝に銘じて研究に勤しむべし。
 
【目次】
第1章 まずは控え目に方法論を
第2章 社会研究における理論の功罪
第3章 因果推論との向き合い方
第4章 曖昧な心理は理論化できるか
第5章 歴史は重要だ(History Matters)ということ
第6章 社会研究とリベラル・デモクラシー
 
【著者】
猪木 武徳 (イノキ タケノリ)
 1945年滋賀県生まれ。京都大学経済学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了。大阪大学経済学部教授、同学部長、国際日本文化研究センター教授、同所長、青山学院大学大学院特任教授などを歴任。大阪大学名誉教授。著書『経済思想』(岩波書店、1987、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞)『自由と秩序』(中央公論新社、2001、読売・吉野作造賞、中公文庫、2015)『文芸にあらわれた日本の近代』(有斐閣、2004、桑原武夫学芸賞)など多数。
 
【抜書】
●「真らしい」(p27)
〔 われわれが探求する問いには、数理的な論理だけでは答えられない問題が山のように存在する。したがって論理的に証明可能な「真理」と、論証することのできない「真らしい」物事があるということを知る必要がある。厳密に論証できるような性質の問題と、正確に論証はできないけれども、これは「真らしい」と思われる事柄の区別である。
 つまり大きく分けると、論証を目的とする学問と、探究し続けるようなタイプの学問があるということだ。この点を強調したのはジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668~1744)である。この違いを認識しないと、すべてが数理的な論証の学問だと考え、論理的に正しいかどうかだけに目を奪われてしまう。自然科学的な厳密さなり正確さを尊重するあまり、問題がフレームワークに当てはまる性質のものか否かを十分検討しなくなる可能性がある。〕
 論証する(verify)学と、探究し(explore)続ける学。(p208) 
 
●なぜ(p79)
〔 理論が個別具体的な事実をそのまま説明していると考えるのはあまりにも単純だ。ある現象を解釈するときには、概念なりモデルは必要だが、そのモデルと現実が完全には合致していないからこそ、はじめて「なぜ」という真っ当な問いが生まれる。なぜモデル通りに社会の変動や歴史の動きを説明できないのかと問うことが意味を持つのだ。〕
 
●ルビンの壺(p100)
 Rubin's vase。
 黒地に描かれた白地の図形からは、向き合った二人の顔が浮かび上がるが、大きな白い壺のようにも見える。
 
●シンプソンのパラドックス(p116)
 エドワード・シンプソン(1922-2019)。
 母集団における相関と、母集団を分割したそれぞれの集団での相関が、正負逆になることがある。
 《例》新薬についての調査結果。
      薬投与            薬投与なし
 --------------------------------------------------------------------------
 男性  87人中81人が回復(93%)   270人中234人が回復(87%)
 女性  263人中192人が回復(73%)  80人中55人が回復(69%)
 --------------------------------------------------------------------------
 合計  350人中273人が回復(78%)  350人中289人が回復(83%)
 
●ポルノ(p191)
 ビデオ・カセットの規格争いでソニーの「ベータマックス」がVHSに敗れた理由。
 ソニーが、ポルノ・ビデオを大量に生産するメーカーにベータマックスのライセンスを与えなかったことが原因だと言われている。
 
●ルイセンコ論争(p205)
 旧ソ連では、科学研究が政府の強い統制のもとにあった。
 スターリンの共産主義独裁体制のもとでは、「人間は教育によって思うように作り替えることができる」「努力すれば必ず報われる」という思想が浸透していた。
 遺伝によって人間の形質が決定的な影響を受けるとする学説は不都合なものであった。教育や環境によって人間は変わるものであり、後天的に獲得された形質は遺伝すると考える学説が正統の生物学として位置づけられていた。
 遺伝子概念を否定する「ルイセンコ主義」と呼ばれる反遺伝学。
 ルイセンコ学説に疑義を呈し、メンデルによる遺伝学を擁護した生物学者が、スターリンの指示に従って多数(3,000人とも推定されている)投獄され、強制収容所へ送られるか処刑された。
 遺伝学や細胞生物学の研究が禁止されたために、その後のソ連におけるこれらの分野の研究が著しく立ち遅れた。
 
【ツッコミ処】
・Revue Genèrale du Droit, de la Législation et de la Jurisprudence en France et a l'Étranger
 ポール・ヴァレリー(1871-1945)が書いた、レオン・ワルラス(1834-1910)の『純粋経済学要論』(第三版)の書評らしい。
 フランス語なのに、和訳が載っていない。
 本書では、翻訳されていない書籍・論文のタイトルには、和訳が付していない。いい加減な翻訳はしない、という学者の良心からだろうか。本文中にソ連に関する記述もあるのだが、こちらは書籍・論文を引用してない。訳わからないキリル文字を目にせずに済んだのが勿怪の幸い。
 ところで、「a l'Étranger」は「à l'Étranger」 の誤りではないだろうか?
 
(2022/3/31)NM
 
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稼ぎ続ける力 「定年消滅」時代の新しい仕事論
 [経済・ビジネス]

稼ぎ続ける力 ~「定年消滅」時代の新しい仕事論~(小学館新書)
 
大前研一/著
出版社名:小学館(小学館新書 394)
出版年月 2021年4月
ISBNコード:978-4-09-825394-4
税込価格:880円
頁数・縦:206p・18cm
 
 日本では定年はどんどん延長され、70歳まで働かないと年金が出ない社会になろうとしている。定年退職したら悠々自適の年金暮らし、というのはもはや幻想にすぎない。
 そうであるならば、リタイアを念頭に会社勤めを続けるのではなく、65歳を過ぎてからも働いて稼ぎ続ける力を身につけたほうが、よっぽど有意義で楽しい人生が送れるのではないか。月に15万円を稼いで好きなことにお金を消費して元気に生きる。そんな生き方を推奨し、その方法を提案する。
 単行本『50代からの「稼ぐ力」』(2019年1月刊)に加筆・削除・修正を加えて新書化。
 
【目次】
第1章 近未来予測―2040年に「老後」は存在しない
第2章 思考改革―人生を「国任せ」にするな
第3章 実践編1―会社を実験台にして「稼ぐ力」を身につける
第4章 実践編2―“お金を生む”発想力を磨く
第5章 実践編3―稼げるビジネスはこれだ
第6章 終活編―稼いだお金は死ぬまでに使い果たそう
 
【著者】
大前 研一 (オオマエ ケンイチ)
 1943年福岡県生まれ。経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年に退社。現在、ビジネス・ブレークスルー(BBT)代表取締役会長、BBT大学学長。
 
【抜書】
●資産への課税(p56)
 所得税や法人税、相続税など既存の税金はすべて廃止し、預貯金や不動産などすべての資産に課税する「資産税」と、消費に応じて課税する「付加価値税」の二つにシフトすべき。
〔 もはや日本では人口が増えないので人口ボーナスもなくなり、高成長は望めない。長引くデフレの中で、昇進も昇給もなく、高齢化が進んで社会保障負担が増える一方だ。そういう国では、「流れているお金=フロー(収入)」に対して課税するのではなく、「貯まっているお金=ストック(資産)」に対して課税するほうが理にかなっている。〕
 
●マーケティング・オートメーション(p83)
 ITによってマーケティング業務を効率化する手法。
 マルケト(Marketo)……サイバー空間にいる多種多様な人々に対し、Webサイトの仕掛けで自社が提供している商品やサービスに興味を持ってもらい、サイトに来てくれた人に対してメールなどで営業活動を行い、購入や利用につなげるITツール。
 
(2022/3/12)NM
 
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データエコノミー入門 激変するマネー、銀行、企業
 [経済・ビジネス]

データエコノミー入門 激変するマネー、銀行、企業 (PHP新書)
 
野口悠紀雄/著(PHP新書 1282)
出版社名:PHP研究所
出版年月:2021年10月
ISBNコード:978-4-569-85052-8
税込価格:1,089円
頁数・縦:251, 6p・18cm
 
 マネーとはデータである。この命題に沿って、近未来の経済を論じる。
 
【目次】
第1章 データを制する者が世界を制する
第2章 ビッグデータの利用には規制が強まる
第3章 マネーを制する者がデータを制する
第4章 マネーのデータを本人がコントロールできるか?
第5章 オープンバンキングで進むデータ利用
第6章 分散型金融と分散自律型組織は、金融の世界を一変させるか?
第7章 マネーのデータ活用で日本再生を図れ
 
【著者】
野口 悠紀雄 (ノグチ ユキオ)
 1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問を歴任。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書に『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)ほか多数。
 
【抜書】
●ITP(p76)
 Intelligent Tracking Prevention。トラッキング防止機能。
 2017年、Appleは、SafariにITPを導入した。
 2020年には、ITPが強化され、デフォルトでサードバーティ―・クッキーを完全にブロックするブラウザとなった。
 Googleも、Chromeにおいて、サードバーティー・クッキーを停止することを決めた。
 サードバーティー・クッキーが使用できなくなると、リターゲティング広告などができないことになり、広告会社の収入は激減する。
 
●金融包摂(p110)
 Financial Inclusion。これまで融資などの金融サービスを受けられなかった人々が、受けられるようになること。
 従来の中国では、国民の大部分が金融サービスを受けることができなかった。「利用履歴や担保がないために信用度が評価できず、そのために金融サービスを受けられない」という悪循環に陥っていた。それが、Antグループの「芝麻(ジーマ)信用」(2015年1月開始)、Tencentの「微信支付分」(2019年1月発表)などの信用スコアリングにより、金融サービスを受けられるようになった。
 
●マイナンバー(p142)
 スウェーデンでは、1947年に個人識別番号(PIN: Personal Identification Number)が導入された。日本の「マイナンバー」に相当。
 2003年には、Bank IDが導入された。PINと氏名、電子証明書を結合したもので、日本の「マイナンバーカード」に相当。パスポート、運転免許証などに匹敵する電子身分証明書。Bank IDで作成された電子署名は、物理的な署名と同等の法的立証力を有する。
 
●スマートコントラクト(p214)
 「ある条件で作動するプログラムをブロックチェーンに登録し、条件が満たされた際に自動的に作動させ、その結果をブロックチェーンに自動的に記録する仕組み」。
 
●手数料ゼロ(p241)
〔 本格的な変化はCBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入でもたらされる。あるいは、Diemのような大規模デジタル通貨が一般に使えるようになれば生じる。
 これらの送金料は、事実上ゼロになると考えられる。そして、現在ある様々な送金サービスよりも、はるかに便利に使えるだろう。
 送金決済はいかなる経済活動でも必要なことであるから、そのコストがゼロになることは、生産性の向上に重要な役割を果たす。世界の趨勢がそのようなものであるなかで、日本だけが高い送金料の送金手段を使い続ければ、生産性はさらに落ち込んでいく。
 したがって、いずれ日本でもCBDCが発行されるだろう。CBDCでは、利用者にとっても、店舗にとっても、コストはゼロになるだろう。したがって、これが導入されれば、現在あるキャッシュレスの手段は、ことごとく淘汰されてしまうだろう。〕
 
(2022/2/10)NM
 
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